食から始まるウェルビーイングの視点。製薬会社で働く私が見つけたもう一つのアプローチ。― Sachiyoさんにインタビュー
【PBEC1期受講生】Sachiyoさん

製薬会社で社内広報を担当するSachiyoさん。 (ウェルネス講座4期生(2024年3月修了)、PBEC1期生(2024年12月修了))。東京都内で保護猫と暮らしながら、忙しい日々を送っています。仕事も健康も大切にしたいーーそう思う一方で、30代半ばを過ぎた頃から、食後の不調という小さな違和感を覚えるようになりました。
本来は楽しみだったはずの食事が、少しずつ「調整するもの」へと変わり、「食事にも気を付け、運動も取り入れているのに、このままでいいのだろうか」、ーーそんな心の声がふとした瞬間に浮かぶようになりました。
その頃、プラントベースに出会い「食から心身を整える」という新しいアプローチを知ります。自分の暮らしにプラントベースの食習慣を無理なく取り入れながら、ウェルビーイングを見つめ直していくーーその実践について、Sachiyoさんに伺いました。
健康に気をつけているのに、なぜか整わない感覚
ーーーPJを受ける前の悩みやそのときの様子を教えていただけますか?
Sachiyo:30代半ばを過ぎた頃から、違和感が少しずつ現れてきました。消化に時間がかかるような感覚があり、空腹感が得られにくく、お腹に残っているような状態が続いていました。最初は運動不足を疑い、ジムに通うなど対策を取りましたが、大きな改善にはつながりませんでした。
友人と食事の約束をしていても、膨満感(お腹が張り、食後も苦しさが残るような状態)があり、思うように楽しめないことがありました。本来楽しみのはずの食事が食べる量を控えたり、時間の間隔を空けたり、油物を摂らないなど「調整するもの」となり、体調によっては予定をキャンセルせざるを得ないこともありました。食事を自然に楽しめる機会が少しずつ減っていったことに、寂しさを感じていました。
ーーーPJのウェルネスプログラムに入会したきっかけを教えてください。
Sachiyo:もともと華子さんのYouTubeを見ていて関心はありましたが、当初はコミュニティに入ることは考えていませんでした。メンバーの新規募集の際に開催された事前セミナーに何となく参加し、卒業生のお話を聞く機会がありました。その中でプログラム参加前は運動を日常的に取り入れていても、食の面でうまくいかないことがあったという話にとても親近感をもちました。その方が最終的にプログラムのおかげで(お腹が張り、食後も苦しさが残るような状態)克服されていることを知り、「私も食で体を変えられるかもしれない」と感じ、思い切って参加を決めました。
食から日々の選択を整える中で、静かに見えてきたもの
ーーー実際に取り入れてみて、体調や食生活に変化はありましたか?
Sachiyo:実際にプラントベース中心の食事にしていくうちに、膨満感が続くことはほとんどなくなりました。ただ、その時点ではメンタル面での変化はあまり実感していませんでした。
ーーーPJのプログラムで大変だと感じることはありましたか。
Sachiyo:大変だと感じることはほとんどなく、2週間に1回のオンライングルコンも「学びたい」という一心で楽しく集中して取り組んでいました。優先順位を決めて時間を確保し、実践課題にも夢中で向き合っていました。
ーーー現在のプラントベースの取り入れ方や、その中で感じた変化や嬉しかったことがあれば教えてください。
Sachiyo:今までは「プラントベース100%の食事」 を目指して実践してきましたが、最近は卵を取り入れるなど、無理のない範囲でゆるく続けています。お豆や野菜、果物など繊維質を多く含む食物を積極的に取り入れる意識が高まり、レパートリーも増えました。華子さんのレシピを参考にしながら、マイペースに続けています。
また、友人を食事に招いた際には少し手間がかかるレシピにも挑戦しました。「美味しい」と言ってもらえたことが嬉しく、動物性食材を使わなくても満足感あることに驚いてもらえたのがとても印象に残っています。
ーーーウェルネスプログラム卒業後なぜアドバンスコースのPBEC(プラントベースエキスパート認定資格プログラム) の講座を受けたいと思いましたか?
Sachiyo:私は製薬会社に勤めているので、薬による継続的な治療後に、薬を必要としない状態になることが理想だと考えています。しかし、慢性疾患の場合は、薬を長く使い続ける必要があり、患者に心身面・金銭面の負担がかかります。そこに問題意識を持っていました。がんなどの疾患でもプラントベース食のアプローチで改善された症例があることを知り、「もっと深く学びたい」と思うようになりました。
食事という副作用の少ないアプローチで健康を支えられる可能性に価値を感じ、受講を決めました。
ーーー特に印象的に残っている外部講師の講座はありますか。
Sachiyo:シーベジタブルさん(高知県で環境に配慮した海藻の自家栽培を行っている会社)による講義で、食と環境の関係を学びました。プラントベースの食事でも農地利用などの一定の環境負荷がある一方で、海藻は土地を使わずに育てられ、さらに栄養面でも優れている点に新たな可能性を感じました。
日本は海藻の種類も豊富で栄養価も高く、身近であり、海藻という選択は理にかなっていると実感しました。「こういう世界もあるのか」と、視野が広がる印象深い学びでした。


ーーーPBECの学びから実生活にどのような変化がありましたか?
Sachiyo:Pillar1(食とサステナビリティ)では、「食料システムが地球温暖化に与える影響の大きさ」にとても衝撃を受けました。これまで環境問題は、大規模な産業や工場側の取り組みが中心だと思っていました。そうした中で、「自分でもできることは何か」と考えたとき、日々の三度の食事から環境へのインパクトを減らす行動ができることに気づきました。これは決してハードルが高いものでもなく、誰にでも今日からできる選択です。そして、その選択の積み重ねが、大きな変化になる。
一人ひとりの力は小さくても「個人レベルでできることがある」と実感できたことは、大きな気づきであり、行動のモチベーションにもつながりました。
ーーー学びを通して、食と健康についての認識にどのような変化がありましたか?
Sachiyo:Pillar2(プラントベース栄養学) の学びを通して、がんなどの慢性疾患と食との関係性への理解が深まりました。プラントベースの食事が慢性疾患の進行を緩やかにしたり、薬の効果を高める可能性があるという研究やデータに触れ、そうした分野への関心が高まりました。
また、「慢性疾患に対して食からどのようなアプローチができるのか」を具体的に考えるようになりました。まだ模索中ではありますが、特に睡眠は心身の回復にとって非常に重要で、生活習慣全体が『ウェルビーイング』に大きく影響することにも気づき、ホリスティック(心・体・環境のつながりを大切にし、全体から整えていく考え方)な視点にヒントがあるのではないかと感じています。
ーーーPBEC講座卒業後、学びをどのように仕事で実践されましたか。
Sachiyo:社内では定期的に交流イベントが開催されています。「講座で学んだ食料システム(食べ物が生産・加工・流通・消費されるまでの一連の流れや仕組み)とプラントベースの魅力を社員に伝えたい」と運営側へ企画を持ち込みました。華子さんを講師にお招きし、「動物性食品を少し減らすだけでも環境への影響は変わる」というメッセージを共有しました。「過去に参加した社内交流イベントの中で、今回が一番良かった」という嬉しい声もあり、私の次の行動への原動力につながっています。
また、部署内でも15分ほどのレクチャーの機会をいただくなど、学びを周りの人にも広げています。同僚の中には、これまであまり意識してこなかったチアシードを取り入れてみるなど、身近なところからできることを実践しようとする姿が見られたのも印象的でした。
社内交流イベントで華子さんを講師に、プラントベースのワークショップを開催
ーーーSachiyoさんはPJ主催シチリアのリトリート(2024年10月に2泊3日のプラントベースの食と暮らしを通して心と体を整える体験型リトリート)にも参加されていますが、そこではどのような体験をされましたか?
Sachiyo:シチリアのリトリートへの参加は、私にとって大きな転機となりました。当時は投資家向けのコミュニケーションを担当しており、ちょうど決算期と重なっていたためあきらめかけていました。でも「行きたい」という気持ちに素直に従い、上司に相談して目処が立ったことで実現しました。あの一歩が、今につながっていると感じています。
現地では、畑に囲まれた穏やかな環境の中で、仲間とともにプラントベースの食事を楽しみながら過ごしました。朝に敷地内のフェンネル畑を走ったり、日中はプールサイドでリラックスしたり、食事や会話を楽しみながら穏やかな時間を過ごしました。自然とともにある暮らしの心地よさを五感で味わうことができました。まるで大人の修学旅行のようで、その場にいるだけで満ち足りた時間でした。素敵な方々と直接会い、言葉を交わす中で、オンラインでは得られない深いつながりや安心感がありました。

食から広がる、世界とつながる新しい暮らしの視点へ
ーーーその体験を通して、どのような変化や広がりがありましたか?
リトリートで出会った方や華子さんの紹介でスローフード協会の理念(地域の食文化、生物多様性、持続可能な農業を守ることを目的としている)に興味を持ち、学びをさらに深める機会を自ら選ぶようになりました。
昨年は、同協会主催の研修に社会人枠があることを知り、「これはぜひとも行きたい!」と参加を決めたのが、スローフード発祥の地であるイタリアへの旅でした。Braの食科学大学でのミニ講義や地産地消の市場、ローマ近郊の都市農園(Orti Urbani Valle dei Casali)やFAO(国際連合食糧農業機関)への見学など、個人ではできない貴重な経験ができました。
また、最近では友人からの誘いで南インドでアーユルヴェーダを受けに行きました。代表的な治療であるパンチャカルマ(体内の毒素を排出し、心身のバランスを整える浄化療法)の体験をしました。そこでは発芽した豆やスパイスを取り入れた消化にやさしいプラントベースの食事や、早寝早起きなどのプログラムを受けました。 食や生活習慣を整えることで心身が本来の状態に戻っていく感覚を得て、自分の中で一つの軸になりました。
ウェルネスプログラムから始まりこれらの経験を積み重ね、「やってみたいことに対して、素直にまず一歩踏み出してみる」ーーそんな選択が自然とできるようになりました。




ーーー今後の目標など思い描いてることはありますか?
Sachiyo:今後も薬の役割は重要であり続けると思いますが、それと同時に病気になる前の段階で『食・睡眠・運動』などアプローチする予防的なソリューションもとても 価値のあるアプローチだと感じています。今後、大学や研究機関、ベンチャーなどと連携しながら新しい取り組みを世の中に届ける橋渡し役を担えたら嬉しいです。
個人的には、『睡眠の大切さ』を実感したことで、寝具や睡眠環境を見直していきたいと思っています。また、国内外の地域ごとの野菜やお豆など、その土地に根差した食材に触れるために実際に足を運びながら学びを深めていきたいです。

ーーーSachiyoさんのように、自分自身と丁寧に向き合いながら、サステナビリティや健康に向けて一歩踏み出す姿は、とてもしなやかで力強く映りました。その変化は決して特別なものではなく、日々の暮らしの中での小さな選択の積み重ねから生まれていくものなのだと感じます。
皆さんにとっても食から暮らしを見つめ直し、自分らしい一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。
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